宮城県庁舎(仙台市青葉区)の窓ガラスに、東日本大震災の直後から貼られていたスローガン「復興へ 頑張ろう!みやぎ」が、6月下旬、ひっそり消えた。
約1メートル四方の紙11枚に1文字ずつ書かれ、18階建て庁舎の16階から8階まで、遠くからもよく見えるように貼られていた。
最近、「復」「興」の2枚がはがれかけているのに、庁舎を管理する管財課が気づいた。
ところがいつ誰が貼ったものか、経緯がわからない。
同課で過去の掲示物の許可申請を調べたが、記録はなし。関係しそうな部署にも尋ねたが、心当たりはないとのことだった。
「そろそろ外してもいいんじゃないか」
管財課員で相談し、全部はがすことにしたという。
記者が調べたところ、震災3カ月後の2011年6月の日付で、スローガンが貼られたことを紹介する地元紙・河北新報の記事を見つけた。県広報課が「文字を通して、県民と県職員が一体となり、力強く復興に立ち向かう姿勢をアピールしていきたい」と答えている。
記者は今回、広報課にも問い合わせたが「うちではなく、管財課の所管です」との返事だった。
震災から12年余り。あの頃の復興への熱や記憶は、県庁の中でも「遠い過去」になってしまった。(編集委員・石橋英昭)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル